ミツバチは農業をささえる重要産業
昨年に引き続き本年度も、花粉交配用のミツバチ不足のニュースが日本中をかけめぐり、その重要性を世の人々に知らしめたと思う。今、養蜂業界はミツバチのあまりの大量消費について行けず養蜂そのものが大転換を迫られている感が深い。お金さえ支払えばミツバチが手に入ると云う時代は終わった。次世代の養蜂もどうあるべきかが問われている。
普通の養蜂ではハチミツの採集が主なので、「今年が不作ならば来年があるさ」と云ったところだが、花粉交配用のミツバチは、そんなものではない。ハチが無ければ、生産農家では大ダメージを受ける。「極めて責任重大な仕事」と云う言葉でごまかす事など出来ない状況だ。だが、現実には各県の養蜂協会加入者は100名を越えていても、花粉交配用にハチを供給する者に限れば、1つの県で3〜5名程度のありさまで、それに加えて高齢化も進み非常に心細い限りだ。
ハチは3月〜6月はどんどん増える大切な季節にもかかわらず、その時期はビニールハウスの中で多くのハチが死滅していくので、その後の時期外れにハチを増やすことなど誰にも出来ない。8月〜9月に田植えをして米が収穫出来るだろうか?それと同じである。ハチは、その土地の季節や環境に合わせている生物で工業製品ではないのだから、養蜂者の方も少しのハチを庭先に置いて、「おらのハチの近くには誰もハチを置かせないぞ」という、変な「なわばり意識」を持って、他を排除するようなことはやめて欲しい。採蜜の花の時期が終りヨタヨタで帰って来るハチを排除しないで欲しい。夏が終われば10月頃より何ヶ月もの間を苺のハウスで働いてくれるハチなのだから。ハチを飼う全ての人々が、ミツバチを愛する心と社会の重要な部分を担うという使命感を持ち、この愛すべきハチと共に生きて欲しい。
現在起きているハチの大量死は不要な虫は皆殺しにする人間の思い上がりを自然が知らしめているのではないだろうか?虫もハチも住めない所に人間だけが生存出来るのだろうか?例えば、ハチに付くダニは昔から居たもので、今のように大問題にはならなかった。ハチと共に共存していたが、自然がバランスを崩して、ハチが弱体化した為にダニにやられてしまう?という事が考えられる。農薬も神経性となるとハチは毒と気付かずにそれの付いた花粉を集めて子に与える、それで子までやられてしまう。その死滅した蜂群の巣を他の群に1枚入れただけでもその群は全滅してしまう。
ハチに運命があるならば悲しい運命を持った哀れな生物と云わなければならない。広々とした光り溢れる春の野山や桜や菜種の花も知らず、狭い狭いハウスの中でその生涯を終わる。そして、それを飼育する我々養蜂者もいつハチの大量死に遭うかと、我が人生も危うく見えて来たりする。
人知を集めれば良い解決策がどこかにあるのではないだろうか?
平成21年6月24日
会長 間室 輝雄